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2003. 4. 7
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<さらく>の航海日誌
4月7日
9時 南緯3度52分 東経153度49分 曇|雨 気温30度 水温31度 船内湿度70%
この数日間は無風になったり土砂降りになったり、半日くらいいい風が吹いたりと変わりどおしの毎日だった。
吹いたあと無風になると波だけが残り、船はフラフラと揺れつづけるしセールはバッタンバッタンと平手打ちを食らわされるような音を立てつづけるし、ウンザリする。
5日の夜、無風になった時に巻き取ったジブファーラーが開かなくなった。
仕方がないので一晩中、メインだけで数ノットのスピードで走った。
先行する同クラスのレース参加艇BOOTSまで20マイルくらいの距離にいたのに残念だった。
翌朝、ジブを降ろして下部のドラム部分を調べてみたが異常なさそうだった。
ウネリが大きくマストに登れないので150%ゼノアとして使うことにした。
夕方まで6から7ノットで快調に走ったが夜になって前方に雷雲があることがわかり、暗くはなっていたが急遽ゼノアを降ろした。
大きなゼノアをあげたまま20ノット以上の風に見舞われたらどうなるか想像するだけでも恐ろしい。
武田くんがバウデッキの作業に慣れているので、こういう時には助かる。
今朝はニューアイルランド島の東にあるFeniという島の沖合い5マイルを通った。
曇ってはいたが森の緑が見えた。
こんなに陸地の近くを走るのはオーストラリア以来なのでうれしかった。
エンジンからのオイル漏れはなんとか対処できるようになった。
またエンジンを回していると、どこかからエア漏れがあるらしく止まってしまうがこれもスロットルの調整で止めずに回しつづけることができた。
これで何とか走りつづける目途が立ったので少し安心している。
あとはいい風が吹いてくれさえすれば、明日か明後日には赤道通過。
> ENTRY No.16「SALAKU」
> レース艇の現在位置
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「浪速」からのレポート
「浪速」から無線で近況報告が入りました。
4月6日
1200/jst アマチュア無線での交信
現在NWの風、風力5〜6で、7ktで走っています。
今朝インナーフォーステイが緩んでいるのを発見。 テンションを掛ける油圧系統のトラブルで、取り敢えずロープで補強しています。 風が落ちたら修理する予定。
朝は缶詰のパン、昼はアルファー米、夜はご飯を食べています。
二人とも元気で、これから他の船を追い上げて行きます。
> ENTRY No.4「浪速」
> レース艇の現在位置
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ファンネル・ウェブからのレポート
4月7日
今日は私がこれまでに経験した一番暑い日だった。 午前11時ごろに風が止んで、かれこれ5時間も無駄にしてしまった。 せっかくこの1日半くらいは順調に走っていたのにだ。 がっかりもいいとこだ。 他の艇はどうしているのだろうか?彼らには風が吹いているのか、それとも我々と同じだろうか?
今日の暑さはあまりにも酷くて、私たちは二人とも、セイルがただはためいているだけのデッキの日陰に倒れこんでしまった。 こんなの私が言うところのセーリングじゃないし、風部隊がもっとしっかりしてくれなくちゃ、と文句も言いたくなる! 焦げるような日差しのため、日陰にいても、肌はまたしても火傷状態だ! 昨日の日焼けに加えてこれだから、私はもうお化けのようになってきた。 瞼は腫れて、唇は膿状、顎のあたりもただれている。 自分の顔、特に瞼など、を触ることができない。 まるで顔を殴られたような感じ。 皮膚は焼けて硬く、何層もの黒い薄片になって剥がれ落ちてくる。 気持ちのいいものでないことだけは確かだ。
キャビン内に座って無線でおしゃべりしているとき(話の内容はもちろん食べ物のこと)、熱と湿気のため、何千という数の水疱が噴き出した。 この水疱はそれほど悪いものではなく、痛みもないし、潰れるとすぐに皮膚が乾き始める。 それでも、今日の暑さがどんなに酷かったかわかるでしょう。
今まで少しでも前へ進むために、夜間に何枚もセイル交換をしたり、バラストを調節したりしてきた苦労が、今日のような一日でチャラになってしまうのだ!そよ風が吹いたと思っても鼻先で止んでしまう。 それでも他の「ダウンヒル」タイプの艇よりは<ファンネル・ウェブ>の方がましだ。 こんなコンディションにしては驚くほどのパフォーマンスを見せてくれる。
もう一つ、鼻につくのは衣服の臭いと、もっと酷いのが二人の乗組員の臭いだ。 誰かこの臭いに対抗できるデオドラントを発明してよ。 ダブやマムでは無理でしょうよ! 午後のスポーツクラブやレストランでエアコンが2時間壊れていたなんていうシチュエーションならダブで充分だけどね! メーカーは本当に3週間洗っていない臭いのサンプルをとって、そのテストを宣伝に使えばいいわ。 3週間と1日もヨットで暮らしたときの問題をメーカーは理解していないのだ! カッパは何日も何日もデッキで浴びた雨や海水が凝縮した臭いがする。 なんとかカッパを脱臭しようと思って、大雨が降ったときにスターンのラインに掛けておいたが無駄だった。 何か抗菌性のものを使わないと無理だわ。
人間は人間でまた別問題だ。 こちらはやはり抗菌性の石鹸で2時間くらい垢すりをしないとだめだ。 それとシャンプーx4回くらい。 髪の毛はもしゃもしゃだ。 男のクルーは刑務所から出てきたばかりのイヴァン・ミラットか雷様という感じだし、女のクルーは脚や脇の下からつるの生えたジャングル・ジェーンみたいだ。 こうなってしまうともう、剃刀よりは刃の広い刀でも使わないと歯が立ちそうにない。 こんなことならレーザーの仕事をやっておくんだった...
食事もほとんど手で食べるようになってしまった。 膝に乗せた缶詰を直接手で食べるのだ。 その食べこぼしがシミになってコクピットの汚いことといったらない。 もう知ったことか、誰が見るわけでもなし。 日本でレストランに入るのもちょっとしたチャレンジだ。 食器の使いかたからテーブルマナーまで勉強しなおさなくては。 社会復帰には相当の手間がかかりそうだ。 3週間と1日着っぱなしの服もあるし、洗濯よりは焼却したほうがよさそうなのもある。 雨も洗濯には殆ど役に立ってくれない。 だから今日は本当に、風だけじゃなくて何もかもが鼻につくというわけ。
風が吹いて、艇を走らせるだけでなく、少しは涼しくしてくれて、この臭いを吹き飛ばしてくれることを願うばかりだ。 ゴールすればシャワーが待ってる。 石鹸や剃刀が足りるかどうか。 昨夜赤道を越えたのが何よりの励みだ。 艇から降りたときとは別人になって、身奇麗にして、イブニングドレスでも着てレストランへ夕食に出かけるのが楽しみ。 (実はドレスも一枚持って来ているのよ。 小道具のバッグもね。 女の子は年中ジャングル・ジェーンでいるわけにいかないから!)
今や私は毎日のべつ幕なしに食べ物のことを考えている。 最初の飲み物は何にするか、前菜は、メイン・ディッシュは、デザートは何にするかまで決めてある。 ホテルでオーダーする夜中のスナックも考えてある。 (そう、私はいつも夜中におやつを食べているの。 サイズは10号だけどね!) そして次の日の朝食は何にするか。 お土産の買い物など後回し、食事の方がずっと大事だ。 もし誰かがリベッタ・クリスプ・ブレッドやベイクド・ビーンズ(今食べているもの)を食べろと言ったら、それを投げ付けてやるわ! 到着した最初の午後に食べるアイスクリームまで決めてあるんだから。 もちろん冷たく冷やしたM&Mのピーナッツ入りも忘れてはいない。 大好物なのだ。 一人で大きな袋を全部たいらげられる。 誰にも分けてあげない! それと、ニューキャッスルにあるメアウェザー・ホテルのチキン・ソテー、ジャスミン・ライス添えも食べたい。 このホテルでは私が3週間も好物を食べに来ないのでどうしたのかと思っているでしょう。 きっとキューキャッスルと日本の間でどこかへ消えちゃったと思っているかもね。
辺りは暗くなり始め、風が少し吹いてきた。 風は友達。 今はもっとたくさんの友達が必要だ。 でも大自然はコントロールできないものだ。 人間はクローンや病気などはコントロールしようとしているけれど、風はまだコントロールできていない。 その方がいいかと思うけど。 人間が万能じゃないということを知らしめるものが何か無いとね。 少なくともこの海へ来て、そのことだけは学んだと思う。 もし自分が何もかもコントロールしていると思っている人が居たら、その人はこのようなレースに出て、太陽、風、嵐、雨、そして海と出会ってみるといいわ。
非力で無力なことがわかる。
人間なんて大きな雨林の中の小さな苗木に過ぎないのだ!
今は陽が落ちて、涼しくなってきた。 ほっとする! イヴァンがやり始めていたロープのスプライスの作業を片付けてしまおう。 彼よりも私の方が針と糸の使い方が上手いからね。 その後で、僅かな風をも逃さないように秘密兵器を取り出すとするか。 シャワーが待ってるわ!
ホームページは www.teamfunnelweb.com
私たちのグッズもウェブで販売しています。
<ファンネル・ウェブ>、シビーより
> ENTRY No.20「FUNNEL WEB」
> レース艇の現在位置
イヴァンより 4月7日
みなさん、こんにちは。 シビーが毎日皆さんにレポートを送っていたことに気がついて、私は何もしていなかったので、ちょっと書いてみることにした。 まずは艇上の様子をご案内して、私たちの生活ぶりを披露しようと思う。
この艇には7つのウォーター・タイト・バルクヘッドがある。 タイタニックみたいにデッキの半分までしかバルクヘッドが無いのと違って、この艇は各コンパートメントが床から天井まで全て隔絶されている。 100%ウォータープルーフで、ウォータ・タイト・ハッチから出入りできるようになっている。 つまり、艇を完全にロールさせて、大きな衝撃を受けて、リグやキールが取れてしまったとしても浮いていることができるのだ。 これはクルーにとって大変心強いことだ。
バウの最初の2つのコンパートメント(各約2m)は完全に空っぽになっている。 バウの重量を減らし、20ノット以上になったとき鼻先から水に突っ込むことを防ぐためだ。 今まで、このレース中にはそういう状況はめったに無かったけれど、これからもっといい風が吹いて、そうなることを期待している。
次のコンパートメントはデッキの大きなハッチから梯子で入れるようになっている。 ここにはセイルとロープがいっぱい詰め込まれている。 ここはマストのすぐ前だから、セイルの重さがバラストの役割も果たして艇を安定させてくれる。
次は、アフト寄りのコンパートメントで、私たちの小さな居住空間だ。 ここにはバンク(ネットを張ったパイプの吊りベッド)が各サイドにあり、流し台とトイレとストーブがある。 この空間の広さは、普通の家の小さいバスルームくらいだ。 このセクションの更に後ろには、ナビゲーション・ステーションがある。 コクピット下のバンクとバンクの間の部分だ。 私たちのナビ・ステーションはコクピットの下にあるというところが変わっていて、敢えて説明するなら、一番似ているのはゲームセンターにあるインディー500のレースカーの中かな。 この場所とデザインを選んだ一番の理由は、ここが一番濡れないと思ったから。 コンピューター類を水に浸したくないからね。 通信機器やスイッチ・ボード、電源制御もすべてここに配置してある。
このアコモデーション・バルクヘッドの更に後ろには、もうひとウォーター・タイト・コンパートメントがあって、そこには7馬力のディーゼル・エンジンで280amp/12v充電式発電機が入っている。 私たちは朝と夕に1時間ずつくらいエンジンをかけて、毎時250アンペアのバッテリーへ12vの充電をする。
その次は、ステアリング・コントロールやオートパイロットがあるコンパートメントだ。
この艇のもう一つのユニークなところは、ウォーター・バラスト・システムだ。 これはマストから船尾までの6つの独立したウォーター・タンクから成る。 これらのタンクには、片側に2トンの水を貯水することができ、その水の注入と排出は、先ほど述べた発電機から電気を取って動く大きな電動ポンプで行う。 この前面白かったのは、このタンクには水の入り具合を見るための覗き窓があるのだが、私がバンクに横になってこの覗き窓からタンク内を見てみると、そこに小さな魚が泳いでいたこと。 きっとポンプで水を注入したときに、艇の下に居て吸い込まれてしまったのだろう。
こんな感じで艇の中の様子を分かってもらえただろうか。 熱いシャワーや美味しい食事をしたいという点については、私もシビーと同感だ。 でも、そのことはあまり考えないようにしている。 なぜなら、それを考えていると、せっかく洋上にある良い部分を見落としてしまうと思うから。 それに私自身は、3週間シャワーを浴びないことで体から発する悪臭にも慣れてしまったんだ。
洋上にあるいいことと言えば、他艇と無線で話しをすること。 彼らは私たちがマッチを持っていないことを知っていて、自分たちの美味しい食事を自慢して楽しんでいる。
あとは、水平線上に、狙った通りの島や陸が見えてきたとき。 これはとても大きな達成感をもたらしてくれる。 ここで、応援して下さる皆さんにお礼を言いたい。 お陰さまで、私たちはコースの半分近くまで来ることができました(昨夜赤道を越えた)。 私の肋骨もだいぶん良くなり、痛みも殆どなくなったので、後半はもっと良い走りを見せたいと思う。
<ファンネル・ウェブ>、イヴァンより
> ENTRY No.20「FUNNEL WEB」
> レース艇の現在位置
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ファイン・トレランスからのレポート
Day 22
洋上での新しい週の始まりはいい一日だった。 暑すぎない程度に曇っていて、南東から12ノットの風が昼過ぎから今朝の7時ごろまで吹いていた。 その後雨が降り始めて、ずっと降り続いている。 風向は南東のまま、風速だけ6〜8ノットに落ちたが、それでも私たちは行きたい方向へ艇速4ノットで走ることができている。
この4日間を振り返れば、風が安定してくれただけでも一安心だ。 トロビアンド島まで一日で行ける筈のところを4日もかかってしまったのだ。
それでも運が良ければ明日の夜にはニュー・ブリテンの西の端を通過できるだろう。 それから先は、赤道のこちら側でリーフや島を全部クリアしたらあとは大阪までまっしぐらだ。
昨夜の定期無線では、<浪速>は私たちより緯度にして1分先を行っていたが、ニュー・ブリテンを北へ向かって回るころまで1分以内に留めておければ、北西太平洋の貿易風で彼らといいバトルを繰り広げられるだろう。 気象情報によれば、私たちはちょうど気圧の谷の下に居るらしく、その南側の南東の風がある位置が正に私たちが居るところとなっている。 そしてその北側には南西の風が15〜20ノット吹いているそうだ。 この情報が正しいことを願う。 無風地帯に入るのに、15ノットの南西の風なら幸先がいい。
今日は久しぶりに海の生き物を見た。 夜明け頃からずっと、体長1メートルほどのマグロが艇の周りを飛んだり跳ねたりして泳ぎまわっている。 この魚は、青黒い背中と銀と黄色の腹がとても美しい。 鳥もたくさん居て、夜によく鳴き声が聞こえる。 今日は何匹かの蛾まで艇に留まりに来た。 曇っていて見えないけれど、ニュー・ブリテンは私たちの右舷側40マイルの位置にあるので、多分蛾はそこから来たのだろう。
> ENTRY No.15「FINE TOLERANCE」
> レース艇の現在位置
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マヴェリック II レースレポート
4月7日
さてさて、今日は海に出てから22日目だが、万事順調、北の11度で典型的な貿易風に乗って走っている。 風速は18ノット、海面は穏やか、青い空にふわふわした雲が出ていて、目を見張るような青い海、その上気温も完璧だ!
艇速は平均10.5ノットをキープしていて、ときには13ノットも出る。 この調子で順調に大阪へ近づいているので、計画通りに行けば月曜か火曜には大阪に着く予定だ。
この3日間くらいで私たちはリードを伸ばしていて、特に一番近い追っ手<コントロール>に差をつけることができたのはよかった。
彼らも必死で走っていて、1インチも無駄にすまいとしていることは分かっている。 200マイルのリードも安心するには不十分なので、引き続き全速力だ!
<マヴェリックII>はよく走ってくれていて、大きなトラブルや破損もないし、僕らの面倒をよくみてくれる素晴らしい艇だ。
このダブルハンドのヨットレースは私にとって、私の最大の目標である単独世界周航のヴァンデ・グローブ2004と、2006年のアラウンド・アローンに向けての大きな一歩なので、特別な意味があるのだ。 <マヴェリックII>の60ftバージョンを想像してみてほしい。 ヨットのF1だ! 私たちの計画は、最後の資金集めの段階もうまく行っている。 私の計画に興味のある方、またはスポンサーになることを検討している方は、是非私のホームページをご覧下さい。 私たちの恐るべき計画の全容をご紹介しています。 www.oceanman.net
では、またこの次まで。
<マヴェリックII>、ジョン・バンカートより
> ENTRY No.10「MAVERICK II」
> レース艇の現在位置
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X-ドリームからのレポート
4月6日
N 03 53 E 151 51 大阪 2057 京都はもう少し先。
今日は老子の教えに従って瞑想する日。
嵐は朝までは続くまい。
激しい雨も一日中はもつまい。
誰に物事を急かす力があるというのか?
天と地がそうしようと決めない限り、人間に何ができる?
道に従えば、道に入る。
道に入ったものを、道は暖かく受け入れる。
赤道からも同じことが言える。5〜15ノットの貿易風はまだかいな?
4月6日(日) 1400時 <X−ドリーム>より
> ENTRY No.12「X-DREAM」
> レース艇の現在位置
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ブーツの日記、パート3
3月28日(金)
なんて素敵な日でしょう。 今日も午前11時にはNo.1のリーフィングを解除して、ゆっくりなスタートを切った。 今はキャシーを揚げて、7.5〜8ノットの速度で走っている。 実際は、ソーラーパネルから充分に充電できて、安心して電源を使えるのでケイト(オートパイロット)に舵をとらせている。 一人しか居なくてセイル交換その他をしなければいけないとき以外はずっと人力でステアリングしていたので、これはちょっとした贅沢だ。 私はウォッチを降板して、ジョージがリーフィング・ラインを直したり、その他の作業をしている。
私はコクピットでノートパソコンを膝に乗せて、素晴らしい発明品である波よけの陰で書いている。 今朝冷蔵庫の掃除をしたが、残念なことにずいぶんたくさんの生食品を捨てなければならなかった。 私たちは今以上の量を食べることはできないし、冷蔵庫を1日1時間以上つけておくには燃料が足りないので、食品を腐らせてしまったというわけだ。 太陽が照り付ける暑いときこそ冷蔵庫が必要なときなので、ソーラーで冷蔵庫に電気を供給できれば理想的なのだけれど。
私は時が経つにつれてこの旅が楽しくなってきた。 コーラル・シーに近づいてきたが、これこそ私の一番好きな海域だ。 それほど景色が綺麗というわけではないが、その広大さは人を圧倒する。 一週間ほど前にコッフス付近で<ザ・ウィザード>が追い抜いて行くのを見た以外は、他艇を見かけていない。 釣り糸を垂れたくて仕方ないが、十二分にも食料があるのに魚釣りをする理由がみつからない。 それに、釣り糸を垂れなくても、魚がデッキへ飛び込んでくる。 この3日間に3晩とも、飛魚がデッキに飛び込んできた。 ウェスト・インディーズでは飛魚が私の頭に激突してきたことがあり、結構こわいもので、そのときは2時間くらいスピードを落としてしまったくらいだ(冗談ぬきで)。
今日はジョージが瓶にメッセージを入れて流した。 どこに辿りつくか知りたいというのだ。 無風用のセイルが何故ラッセルとモーリスと名づけられたのかをマリーに訊かれた。 私たちは既にドリスとボリス、マークという名のセイルを持っていたので、セイルメーカーが予めモーリスと命名された新しいドリフターを送ってきたのだ。 ドリフト・メインのコンセプトはロビン・ヒュイットによるもので、はためく度に音をたてることから、私はこれをラッセル(ラッスル=衣擦れの音)と名づけたかったのだ。 だからウィンド・シーカーはラッセル、ドリフターはモーリスという名前になったのだ。 因みに「リアル・シング」という歌とは何の関係もありません。 とにかくこれらのセイルが無風のときの助けになってくれればと期待している。
私たちは一日4〜5時間の睡眠にも慣れてきて、機嫌が悪くなることもない。 疲れ過ぎて、起きだしてウォッチに着くことが辛すぎると思う瞬間もあるけれど、舵を握って30分もすれば、すっかりセーリングを楽しんでいる自分が居る。 天候は抜群にいいし、セーリングは素晴らしい。 これは経験したものでないと分からない、言葉では説明できないことだと思う。
4月3日(木)
もう私たちの身に起きた不運を皆さんご存知でしょう。 私たちは昨夜(水曜日)、後方へ押し戻されてしまった。 みんなはずっと先へ行ってしまい、私たちだけが取り残されたような気分だ! 私たちは昨日、2、3マイル進むためだけに七転八倒した。 午後7時ごろ、風があるのではないかと期待して、雨嵐の中へ突入していった。
定期無線の時刻にその雨は降り始めた。 ジョージは無線で話していたので、私が何も見えないから計器のライトを点けてと叫んだのも聞こえなかった。 私は全身ずぶ濡れで、服の中の水の温度が上昇してくるといくらか快適になるといった状態、ウェットスーツを着ているときと同じようだ。 私は艇が南東へ流されていると思ったのでタックしたが、ジブを調節してホイールへ戻ったときにはジャイブして一回転していた。 特に風が強かったわけではない。 風速は18〜20ノットだった。 原因は潮流だ。 私はもっと前に、ジョージに横へ流されていると言っていたのだ。 だから、ドーナッツを3つ食べたあとで、タック制御つきのオートパイロットであるケイトを使うことに決めたのだ。 あとは自動的にタックしてくれる。 走って走って走るだけ。 しかし、オートパイロットではどうにも、タックするのはいいけれど、やたらに走り続けてしまうのだ。 もう一度やってみるがうまくゆかない。 そのとき、やっと定期無線を終えたジョージが頭を出した。 彼がナビゲーションに加わってくれたかと思ったら、今度は計器が全滅した。 またしても計器なしの真っ暗闇に逆戻り。 雨が激し過ぎて、マストトップの風見を見ることもできない。泣きっ面に蜂で、ヘルムに強い潮流を感じる。コンパスが他の計器の電源を奪い取っていることがわかり、コンパスを消すと、他の計器にはライトが灯った。コンパス代わりにオートヘルムのものを利用する。
どうにも前進できそうにないのでジョージは下へ行って休むと言った。 私は真夜中まで頑張ると言った(結局6時間で2マイル前進、東方へ2,3マイル流されただけだったが)。 午後11時半にジョージを起して、続く3時間は彼に交代してもらった。 午前3時にはヘッドセイルを小さくしてメインを降ろし、風が吹き始めるまで眠ることにした。 朝8時、風は8ノット。 私たちはゲームを1からやりなおす。 西へ向かおうとして南西になり、東へ舵を切ろうとしては南東に向いてしまう。 一箇所に留まるよりは、潮流にあわせて南東へ進もうと決めた。 ブーゲンヴィル海峡の様子は良さそうだ。 今朝のビットリア海峡と同じだ。 昨夜の定期無線の時間には、他艇は皆とても快調に走っていて、私たちだけがもがいているようだった。 とはいっても、不満をこぼしたつもりはない。 私はどんな状況も楽しんでいる。
私は昨日ジョージに魚とり用の網をとってくれるように頼んだ。 「そんなの何に使うんだい?」とジョージ。 「ココナッツをつかまえるのよ。 たくさん海に流れているから」と私。 そのとたん、ココナッツが一つも見当たらなくなってしまった。 お陰でジョージには私の気が変になったと思われた。 彼はクジラも見損ねたし、どしゃ降りの雨のときは寝ていたし(今はわかっているけれど)、雲のなかのライオンも、ココナッツも全部見損なっているのだから尚更だ。
昨日は、スピネーカーを2枚も揚げられた!セント・ジョージとキャシーの2枚はとてもよく走らせてくれた。 無風用のセイルが大きなセイルの邪魔になると言ったのだが、ジョージは、この方が急に風が吹いたとき(この辺ではそういうことがよくある)に破れにくいからと言ってこれをとってある。 ソロモン海では常になんらかのウェザー・システムが上空を取り巻いていて、私たちは常にその真ん中にいて、取り巻くシステムに空気が全部吸い取られる傾向がある。 ロビン・ヒュイットが経験した黒い荒くれ者にはまだ遭遇していないが、まだ時期は早いし、ソロモン海にはずいぶん長居しているような気がする(このペースでは永遠に居るようだ)。 多分<サラク>には夜の間に追い抜かれたと思う。 <ルイーズ>はバッテリーが切れてしまい、エンジンをかけている時以外は通信できない。 夜間はコンパス・ライトの灯りだけで過ごしているらしい。
4月7日(月)
進行状況が心配になってきた。 私たちだって真剣にレースをしているのだ! 燃料は半分使い切った。 水と食料は充分ある。 お酒はあまりたくさん持ってこなかったが、それでも足りるだろう。 忙しくてそんなに飲んではいられない。 他の艇がどんどん先へ行くのを見ているとフラストレーションがたまる。 無風地帯に足止めされている様子もまったくないではないか。 ほとんど皆、無風地帯を抜け出したようだ。 <サラク>がやってきて私たちと同じコンディションにあったときはじめて、私たちが悪いのじゃない、ウェザー・パターンのせいなのだ、と思えた。 速い艇は2日先にソロモン海へ入れたことで、これだけの差がついたのだ。
とにかくあまり気にしてもしょうがない。 最高のセーリングと最もイライラするセーリングの両方を経験した。 昨日のように何時間も快走できるときもあれば、昨夜のように壁にぶち当たるときもある。 私にとって航海中一番怖いのは雷だ。 昨夜は私のウォッチのときに黒い荒くれ者が上空を包んだので、私はジョージを呼んで一緒に居てもらった。 今回はこの荒くれ者が私たちの様子を見に来ただけで何もしなかったので良かった。 私はこれから逃れるために30°下へ向かってスピードを上げた。 窓は見えるのだが、システムの距離と、それがどの程度の早さで移動しているかは分かりにくい。 3時間にわたってこのシステムは私に近づき、暗闇で包んでいった。 稲光に音は伴わず、その他は真っ暗闇だった。 まるで上空を幌で覆われたようだった。 風は止み、私たちはただその中でのたうっていた。 何もできないので、私たちはヒーブ・ツーしてセイルのバタつきを押さえ、キャビンに下りた。 15分後、稲光が弱まり、かすかな風が吹き始めた。 まるで私たちに勝ち誇って、去っていったようだった。
この海域では年間で平均100回のサンダー・ストームがあり、それは3〜4日に1度のペースという意味だ。 この24時間の間に4回あったが、昨夜みたいに不気味な大きなやつは初めてだった。 今朝も1マイルほど離れたところで並みのサイズの雷が海面に落ちていて、その他の2つはこちらへ向かって来てはいなかった。 昨日は日曜日のシャワーを浴びなかったので、今朝の5時半に、ケイトをオンにして、レイン・ストームの一つを利用してウォッチ中に髪を洗った。 ちょうどリンスをつけたところで雨が止んでしまった!それでも心配はない。 雨雲はいくらでもあるのだ。 実際、次の雨で全身シャワーを浴びた。 メインセイルから流れる水をジョージが起きたときのために溜めておいてあげようかと思ったくらいだ。 私たちは今、スープ・ボウルの中に居るようなもので、風はなく、ただゆらゆらと揺れている。 道具やコンピューターを固定しに行かなくちゃ。
つづく...
> ブーツの日記、パート2
> ENTRY No.9「BOOTS」
> レース艇の現在位置
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